
「伝わるプレゼン」 後編
2回に分けてお送りしている「伝わるプレゼン」シリーズ。
前回はプレゼンの骨組み=「言いたいこと」を作る段階からご紹介してきましたが、後編となる今回はそれに続き、出来上がったプレゼン資料を基に、それを「どのように相手に届けるか」をご説明していきます。
自分の考えを相手に伝えるには、同じ内容でも「言い回し」「言い方」ひとつで結果は大きく変わってきます。
今回は相手が受け取りやすいように話し方を組み立てるテクニックをお教えします。
”分かりやすさ”とは
「分かりやすい説明」とはどのようなものでしょうか。
その前に”わかる”とはどういう状態を指すか…これは「自分の説明と相手の理解が一致すること」であると覚えておく必要があります。
その上で、この状態に到達するためには両者に何が必要かを考えてみましょう。
まず一つ目、自分に用意できる要素としては
「相手に理解ができる説明ができるかどうか」
それに加え、自分の説明を相手が理解できるかどうか。つまり
「相手に理解ができる準備ができているかどうか」
が重要な要素として挙げられます。

つまり「分かりやすい説明」とは、
この両者の距離を同時に縮められるような説明スキルを持っていることと言えるでしょう。
今回は、この二つを満たすための具体的な手段をご紹介していきます。
要点を3つに絞る
皆さんは「マジックナンバー3」というものをご存知でしょうか。
”3の法則”とも呼ばれるように、”3”と言う数字は物事を認識するのに合理的な数だと言われています。
「金・銀・銅」や「松・竹・梅」と言ったランク付けに関わるものから
「世界三大珍味」「三日坊主」「石の上にも三年」「衣食住」など、
また「二度あることは三度ある」に対して「三度目の正直」と言った面白い例も挙げられるでしょう。
最近では「3密」と言う表現も頻繁に耳にしますね。
スティーブ・ジョブズも、iPhoneを発表する際には
「iPod」「Phone(携帯電話)」「Internet」
と表現したエピソードなど、自身のプレゼンの中で”3”を多用してきたことでよく知られています。
「伝わるプレゼン」シリーズの前回では資料を作成するに当たっていくつかのインデックス(見出し)に沿ってアイデアを出して整理していましたが、今回は”相手に伝える”本番に際して
- 最初は―
- 次は―
- 最後は―
と言う流れで要点を”3つ”に絞るように解説していくと、相手に過不足なく認識してもらえるでしょう。
ムダも不足も無い”3”と言う数字にスッキリと落とし込むことで、「相手に理解しやすい説明」を用意することができます。
ただ説明するだけで十分なのか?
さて、マジックナンバー3を用いてシンプルな説明は用意できましたが、それだけで必ずしも相手に伝わると言えるでしょうか。「分かりやすい説明」と呼ぶには、もうひと工夫必要です。
冒頭では「わかる」とは「自分の説明と相手の理解が一致すること」と説明しましたが、今度はいざ相手に説明をする際、相手のすぐ近くまで心理的な距離を詰めて行くテクニックをお教えします。
ただ目の前で説明をするのではなく、相手からも「おっ?」と反応してもらえる、ワンランク上のプレゼンを目指しましょう。
たとえ話で関心・共感を持ってもらう
たとえば。
ここに、還元率2%のクレジットカードを売るセールスマンが居たとします。
「このカードは月々の携帯電話料金の2%、その他の買い物でも同様に2%のポイントが貯まるのでお得ですよ!」
ここまでは”よくあるセールス”のパターンですね。
多くのお客様はこの時点で「あ、もういいです」と言う反応になってしまいます。
「携帯電話料金の2%、お客様は1万円とのことでしたので200円になりますね。
毎月200円を損しているとしたら、勿体無いと思いませんか?」
「ガソリン代がリッター5円安かったとしたら、そのガソリンスタンドで満タンにしたいと思いますよね?
40L入れたら200円もお得になるんですよ!」
と紹介できるセールスマンが居たらどうでしょうか。
プロの販売員は、このように「たとえ話」が上手いことが重要なスキルの一つとして求められます。
「分かりやすい説明」とは、ただ「自分が言いたいこと」ではなく「相手が分かる範囲」にまでその説明を届けに行く事が重要です。

同じ説明でも、相手が理解・共感しやすい領域へ投げ込むと説得力が格段に違いますね。
まとめ
前後2回に渡ってお送りしました「伝わるプレゼン」シリーズ、いかがでしたでしょうか。
- 自分の思考を整理する
- 要点を3つに絞る
- たとえ話で相手が分かる説明にする
この3点を覚えていただければ、あなたのプレゼンは格段に良くなっている筈です。
プレゼン力の向上はそのまま売り上げや成績にも直結します、是非積極的に取り入れてみて下さい。
まだ読まれていない方は、是非<前編>もあわせてお読みください。